【2013年9月5日】

ニュースリリース

光る花の研究開発に成功

NECソフト株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役 執行役員社長:古道 義成、以下NECソフト)、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市、理事長:堀江武)花き研究所、株式会社インプランタイノベーションズ(本社:神奈川県横浜市、代表取締役:髙根健一)、国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学(奈良県生駒市、学長:小笠原直毅)は、共同研究により、新規蛍光タンパク質を組み込んだ光るトレニア(Torenia fournieri、写真)の開発に成功いたしました。

 

花き市場においては、イベント用途や贈答用として、他には類を見ない特徴的な花やゴージャスな花材が絶えず求められています。一般的な花色や花形の改良以外で注目されるものとしては、蛍光染料の塗布や吸収による人工的な「光る花」が商品化されていますが、植物自体の特性として蛍光を発するものはありませんでした。これまでにも、他の研究グループによってオワンクラゲ(Aequorea victoria)の緑色蛍光タンパク質(GFP)等を植物体に組み込むことで「光る花」を開発する試みはありましたが、実際に目で確認できるほど強い蛍光を発する植物は得られていませんでした。

インプランタについて

【写真】光るトレニアの花

新規蛍光タンパク質遺伝子を使用

今回の開発で成功した「光る花」は、海洋プランクトンの一種であるキリディウス属(Chiridius poppei)から発見された新規蛍光タンパク質の遺伝子情報(注1)を遺伝子組換え技術を用いてトレニアに導入したもので、暗闇の中で特定の波長の光(励起光)を当てると鮮やかな黄緑色の蛍光を発します。強い蛍光を安定に発する新規蛍光タンパク質と、このタンパク質を細胞内に多量に蓄積させるための技術を組み合わせることで、これまでにない強く光る花を実現しました。本成果により、研究面では、遺伝子発現を植物体のまま非破壊で解析する技術が大幅に向上する一方で、市場への「光る花」の提供が可能となります。今後は、植物体における蛍光タンパク質の活性維持法や観察および展示手法について研究を行って参ります。

 

なお、本研究成果の詳細は、2013年9月10日~12日に開催される「第31回日本植物細胞分子生物学会(札幌)大会・シンポジウム」(場所:北海道札幌市)(注2)において、「高翻訳効率発現ベクターと新規蛍光タンパク質遺伝子を用いた光る花の開発と利用」の演題名で、ポスター発表します(ポスター番号P-73、発表者:農研機構 大坪憲弘博士 他7名)。

(注1):NECソフト保有特許「新規な蛍光性タンパク質とそれをコードする遺伝子」(WO2005/095599)

(注2):「第31回日本植物細胞分子生物学会(札幌)大会・シンポジウム」

・会期:2013年9月10日(火)~12日(木)

・場所:北海道大学 高等教育推進機構(北海道札幌市北区北17条西8丁目)

・主催:日本植物細胞分子生物学会(http://www.jspcmb.jp/index.html)

・大会ホームページ:http://www.knt.co.jp/ec/2013/jspcmb31/

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