【2014年11月21日】

ニュースリリース

遺伝子組換え技術により開発された

「光る花」の論文を公開

-国立科学博物館「ヒカリ展」にて世界初公開中-

ポイント

・「光る花」の開発に関する論文がPlant Biotechnology誌に掲載されました。

・この知見を活用し、国立科学博物館「ヒカリ展」にて「光る花」が世界で初めて

一般公開されました。

 

概要

農研機構花き研究所、NECソリューションイノベータ株式会社、株式会社インプランタイノベーションズ、国立大学法人奈良先端科学技術大学院大学が産学官連携の共同研究により開発した「光る花」の論文が、Plant Biotechnology誌電子版(J-STAGE)上にて早期公開されました。

「光る花」は、遺伝子組換え技術を用いて海洋プランクトン由来の蛍光タンパク質をトレニアに導入して開発されたものです。蛍光タンパク質を活性化するための光の波長や観察に用いるフィルターの違いによって見え方が変わること等が特徴であり、観賞性を高めるために役立つと考えられる詳細な方法が、当該論文において報告されました。

「光る花」は、国立科学博物館(東京都台東区)で開催されている特別展「ヒカリ展 光のふしぎ、未知の輝きに迫る!」(主催: 国立科学博物館、日本経済新聞社、BSジャパン)にて、世界初公開されました。開催期間(2014年10月28日(火)~2015年2月22日(日))中、展示されています。展示方法に論文の知見が活用されています。

 

予算:運営費交付金

問い合わせ先

研究推進責任者:農研機構花き研究所 所長 市村 一雄

研究担当者  :同 花き研究領域 主任研究員 佐々木克友

広報担当者  :同 研究調整役 大久保 直美

TEL 029-838-6801 FAX 029-838-6841

プレス用e-mail:www-flower@naro.affrc.go.jp

 

本資料は農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、筑波研究学園都市記者会、文部科学記者会、科学記者会に配付しています。

※農研機構(のうけんきこう)は、独立行政法人 農業・食品産業技術総合研究機構のコミュニケーションネーム(通称)です。新聞、TV等の報道でも当機構の名称としては「農研機構」のご使用をお願い申し上げます。

 

研究の背景と経緯 

「光る花」は、遺伝子組換え技術を用いて海洋プランクトン由来の蛍光タンパク質をトレニアに導入して開発されたものです。蛍光タンパク質遺伝子と、タンパク質を植物体内に高蓄積させるための特別な遺伝子配列(植物由来)を組み合わせる等の改良により、強く蛍光が見られる「光る花」が開発されました。

 この「光る花」の観賞性を高めるために、照射する光の波長やフィルターの検討を行いました。また、長く観賞性を保つ観点から、ドライフラワー等の鑑賞方法についても検討を行いました。

 

 

研究の内容・意義

「光る花」の観賞性を高めるための方法の検討の結果、以下の知見が得られました。

 

蛍光タンパク質の発現量を上昇させるために転写終結因子を最新の配列に置換し、蛍光タンパク質遺伝子の発現に係わる遺伝子領域全体を3重連結することにより、これまでにないほど強い蛍光を示す「光る花」が開発されました。

蛍光タンパク質を活性化するための光の波長については、植物由来の自家蛍光物質を活性化しない青色光(波長470nm付近)が適しています。また、観察用のフィルターの選択により観賞性が異なります(図1)。

ドライフラワー等でも光り続けます(図2)。

 

 

今後の予定・期待                  

「光る花」は、国立科学博物館(東京都台東区)で開催されている特別展「ヒカリ展 光のふしぎ、未知の輝きに迫る!」(主催: 国立科学博物館、日本経済新聞社、BSジャパン)にて、世界初公開されました。開催期間(2014年10月28日(火)~2015年2月22日(日))中、展示されています。展示方法に論文の知見が活用されています。

このほかにも、今回の知見が「光る花」の実用化の助けとなることを期待しています。

○「光る花」論文

「Generation of fluorescent flowers exhibiting strong fluorescence by combination of fluorescent protein from marine plankton and recent genetic tools in Torenia fournieri Lind.」 K Sasaki, K Kato, H Mishima, M Furuichi, I Waga, K Takane, H Yamaguchi, N Ohtsubo. Plant Biotechnology. vol.31.no.4 (2014)

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