【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2020年7月

*コロナ禍、気分が落ち込んだ貴方に花束を。

 

新型コロナウイルスが世界的に猛威を振るっています。その影響で働き方が変わった方も多いのでは無いでしょうか。在宅勤務や時差通勤など、日々の行動が変わって数か月、ストレスが積もって不快だと感じている方は、部屋にを飾ってみてください。

 

自然豊かな環境に身を置くと、リラックスできることを実感されている方も多いと思います。学術的にも、森林などの緑豊かな環境がストレス軽減効果を持つことは証明されています。一方で、なんとなく花があると心が落ち着くなと感じている方は多いかもしれませんが、「花」だけがもつストレス軽減効果は検証が不十分でした。

 

今年に入り、農研機構と筑波大学、科学警察研究所の共同研究により、花のストレス軽減効果が報告されています。研究では、被験者に不快な画像による心的ストレスを負荷した後、花の画像を見せたところ、ネガティブな情動(恐怖や嫌悪感)が減少してポジティブに転じました。また、ストレスにより上昇していた血圧が低下し、その効果は花以外の画像をみたときよりも有意に大きなものでした。加えて、ストレスによって上昇するホルモンの値は花の画像によって21%低下することも確認されています。

 

なぜこのような効果が花にあるのか。花の画像を見た被験者の脳活動を解析したところ、情動の生起に関わる脳領域(偏桃体)の活動が抑制されていることが判明しました。被験者は「花」という刺激に引き付けられることで、ストレス源から注意が逸らされ、その結果、血圧の上昇やホルモンの上昇などのストレス反応が緩和されたと考えられています。花にひきつけられるのは虫だけでなく、人も同様ということでしょう。

 

ヨーロッパでは、日本に比べて花を買い求める人が多いと聞きます。購入理由は贈り物だけでなく、自分用にも購入するようです。日常的に花が存在しているヨーロッパの人々は、より心を落ち着けられているのかもしれませんね。これまでに経験がないコロナ禍、心を落ち着けるために自宅に花束を飾ってみてはいかがでしょうか。

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