【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2021年6月

*エッ?それニセモノ?ツユクサの花の構造に隠された生存戦略の秘策とは、、、

 

6月に入ると、空き地や道端にツユクサ(露草)の花が咲き始めます。

緑の中に、鮮やかなブルーの花弁と黄色い雄しべのコントラストが絶妙で、美しいですよね。またツユクサの名前の由来は、「朝露のようにはかなく、昼過ぎには萎れてしまう」ためといわれており、英語名はまさに“dayflower“(一日花)と表記されています。ツユクサは一見、ありふれた雑草として扱われがちですが、生存戦略において実に巧妙な手口をもっている不思議な植物なんです。

 

ツユクサの花は、花弁が3枚あり、そのうち上の2枚だけが青色に色づいており、下の一枚は小さくて半透明なので2弁の花のように見えます。

また雄しべは6本で形は3種類あります。ゾウの牙のように下から長く突き出した2本と、真ん中のやや長めの1本が花粉をつけます。そしてなんと上の3本は見た目は黄色く派手ですが、実はこの雄しべがフェイクで、花粉が空っぽ(飾り雄しべ)なんです。

 

鮮やかな黄色の雄しべに誘われた昆虫が「飾り雄しべ」に近づくと、花粉をもつ雄しべ(下から長く突き出した2本)がちょうど昆虫のお腹に付いて、花粉を運んでもらうことができます。さらに、ツユクサは、雄しべと雌しべが揃った「両性花」と、雄しべだけの「雄花」の2種類の花を咲かせます。最初に両性花を咲かせて、結実したら2番花・3番花は雄花を咲かせます。おそらくこの開花順は結実させ種子を確保した後は、種子の成長にエネルギーを有効に使うようにするためではないかと推測されています。また仮に昆虫が寄ってこなくても、ツユクサが萎む頃になると、自分の雄しべをクルクルと巻き寄せて自分の雌しべと受粉(自家受粉)することもあります。その他にも、地中に自家受粉する「閉鎖花」があり、地下茎でも増殖することもできるのです。

 

このように一日のうちに3回も受粉をする仕組みを持つツユクサ。その花言葉が「尊敬」だけあって、小さくも偉大な生存戦略が隠されているのですね。道端でツユクサを見かけたら少し立ち止まって、2㎝程の花弁の中のドラマを覗いてみてはいかがでしょうか。

 

 

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