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【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】
2024年4月
*2024年はチョコレートの分岐点かもしれない。
◯カカオの先物価格が高騰
チョコレートはお好きですか。手頃な価格で美味しく、コンビニやスーパーなどで手軽に入手できることから、私たちの生活に身近な存在です。しかし、チョコレート製品を取り巻く状況が変わり始めています。
チョコレートの原料であるカカオの価格を決めるニューヨーク市場では、年初からカカオ先物の価格が2倍以上になりました。2020年と比較すると4倍です。この異常な高騰は、カカオの生産量が急激に落ち込んでいることが原因です。日本において今すぐにチョコレート価格へ波及することはありませんが、この価格で購入されたカカオを使った製品が出回り始める2024年後半からチョコレートの入手が困難になり、価格が高騰されることが予想されます。カカオに何が起こっているのでしょうか?
◯カカオの生産量低下の原因は?
カカオの生産地は主に西アフリカで、ガーナとコートジボワールで全体の6割を占めていて、これらの地でカカオの生産量が急激に落ちています。原因は複数あります。
① カカオ膨梢ウイルスの蔓延
カカオ収量低下の最も大きな原因は病気です。カカオに感染するカカオ膨梢ウイルス"Cacao swollen-shoot virus"が世界のカカオ農園に蔓延しています。このウイルスに感染したカカオは1年以内に収量が落ち、最終的に数年で枯れてしまいます。対処法は感染した樹を取り除くしかなく、治療法など根本的な解決には至っていません。
②違法な金採掘の横行
カカオ農園の多い西アフリカでは「金」が採掘できます。昨今の金の高騰により、違法な金の採掘業者がカカオ農園を占拠して金を採掘しているそうです。採掘ではカカオの樹が掘り返され、採掘による有毒物質による土壌汚染が起こるため、カカオ農園への復帰が難しくなります。
③気候変動の影響
カカオの栽培地では、カカオに不適な気候が目立つようになってきました。大雨が集中し、熱く乾燥した期間が長期化してカカオの収量に影響が出ています。コートジボワールではカカオ栽培の適地が2050年代までに50%以上縮小すると予想する研究もあるそうです。
④生産管理システムの破綻
各国がカカオ生産の管理体制を構築していますが、近年では有効に機能していないと言われています。例えばガーナの政府機関「ココア委員会:Ghana Cocoa Board(COCOBOD)」はカカオ農家に対して肥料や農薬を提供していましたが、現在はストップしているようです。機関は債務超過の状況で、生産量を改善する新たな手を主導できずにいます。
◯チョコレート文化は存続できるのか
以前からカカオ生産には児童労働やフェアトレードなどの課題がありました。そうした状況を改善しようとする最中に、このような複合的な要因がカカオ生産に打撃を与え、事態は一気に深刻化しています。本当に今後もチョコレートを口にできるのか、見通しは決して明るくありません。美味しさだけでなく健康への効果からも愛されるチョコレート。世界に安定供給できるよう、更なる対策が求められるでしょう。そして私たち消費者一人一人にもできることがあるかもしれません。今後もチョコレートを食べたいのであれば、その未来について考えなければなりませんね。
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ご希望の植物種から培養細胞系を構築するサービスを開始しました。植物由来の薬理活性成分等、植物による物質生産に有効です。
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