【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2017年5月

*トルコギキョウ育種大国日本*

 

一説には、開いた花がトルコ人の被るターバンに似ていたために「トルコ桔梗」の和名が付けられたユーストマ(英名)。その起源は北米ですが、世界のトルコギキョウ品種のほとんどが、日本の品種をルーツに持つのはご存知でしたか?

 

日本がトルコギキョウの育種を牽引しているのは、戦争を乗り越えてトルコギキョウを伝え遺した農家さんが居たからでした。トルコギキョウの原種は、アメリカ・ロッキー山脈南東部の高原地帯に自生しており、19世紀にプラントハンターにより世界に広められました。1933年に日本にも導入されますが、当初はあまり普及せず、一部の生産者によってわずかに栽培されていただけでした。

 

一方この頃、海外では既にトルコギキョウの育種が行われていましたが、第二次世界大戦の混乱の中で多くの育種材料が失われ、海外の育種の流れは途絶えてしまいます。ところが、日本では戦時中も長野、静岡などで個人の農家が、細々と生産や育種を続けており、この時遺された育種材料が、現在の「トルコギキョウ育種大国日本」の礎を築いたのです。

 

トルコギキョウの育種で大きな成果といえば八重咲き品種の作出です。トルコギキョウの八重咲き化は、大輪による高付加価値、優れた花持ち、昼咲き性質(昼開花して夜閉じてしまう性質)の打破をもたらしました。また最近では、一重咲きの無花粉トルコギキョウが作られました。雌しべ先端への花粉付着は花の老化を促進する一因ですが、無花粉にすることで一重咲きでも花もちが改善されました。また、飛散した花粉による花の汚れが発生しない点も輸送の点から見て画期的です。

 

トルコギキョウはこれからも新品種が作られると思いますが、既にたくさんの品種が目を楽しませてくれます。そろそろ梅雨の時期ですし、バラエティ豊かなトルコギキョウを飾って、明るく過ごすのも良いのでは?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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