【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2021年5月

*遭遇が難しい「花」たち

 

先日5月26日夜に皆既月食がありました。今回の皆既月食は2018年7月以来、約3年ぶりで、美しいだけでなく、稀にしか見られないからこそ、遭遇した時に感動するのだと思います。そんな天体ショー並みに、なかなか巡り会えない「花」が私達の足元にも隠れていることをご存知ですか?

 

『月下美人』

日本では1年に1日咲くと言われています。その名の通り、月の下(夜)に咲きます。6月から11月の間に開花し、開花する直前には蕾が上を向き強い芳香を漂わせて知らせてくれます。夜の間中咲き続け、翌朝にはしぼんでいく、特徴的な性質は、原産地の熱帯地域において、花や花粉を食べる小型コウモリによる受粉媒介への適応と考えられているようです。そのため小さい動物が取り付いた程度では折れない、しっかりした花茎を持っています。

 

『竹の花』

竹の開花は大変珍しく、開花すると数日だけ咲き枯れていきます。一節には120年に1度しか咲かないと言われていますが、実際の開花周期も人の寿命より長いので観察が難しいそうです。竹の花はクリーム色の細い稲穂のような花で、周囲の竹が「一斉」に咲くことが多いとされていますが、それを引き起こすトリガーは謎のままです。記録では、1970年前後に栽培されていた竹が一斉に咲いて、その後枯れて竹不足になった記録があるようです。

 

『竜舌蘭の花』

こちらは数十年に1度しか咲きません。メキシコ原産で、葉が竜の舌のような形をしていることが名前の由来です。花が咲く年は春から茎が伸び始め、夏頃には5mを超える松のような見た目の花が咲き、その後茎ごと枯れてしまいます。月下美人同様、コウモリによる受粉媒介として進化したようで、夜間に大量の蜜を分泌しているとの観測があります。ちなみに、竜舌蘭はテキーラの原料ですが、テキーラにする場合は花茎が伸びる直前で収穫してしまうため花を見ることはできません。

 

年に1日だったり、数十年に1度だったり、植物はとても儚い周期で生きています。身近にある鉢物の開花でさえ、1輪の開花期間は年に数日だったりします。複数の蕾の開花が連なることで長く開花を楽しませてくれています。足元の珍しい開花ショーを探してみてください。

 

 

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