【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2022年11月

*他の果物とは少し違った秘密を持つリンゴのお話

 

リンゴの産地は、青森県、長野県、群馬県などが有名で、品種改良や貯蔵技術の進歩により、一年中新鮮で美味しいリンゴが食べられるようになりました。リンゴの旬は、11月〜2月の秋から冬にかけてと言われています。私たちが普段食べているリンゴの果実ですが、その構造が他の果実と違い大変興味深いので、ご紹介したいと思います。

 

ミカンやカキ、モモなどの多くの果物(くだもの)は、雌しべの基部にある子房が肥大してできます。それを私達が「くだもの」として食べています。ですがリンゴは、一般的な果実とは少し異なり、子房が肥大した果実のでき方ではなく、花の付け根にある「花托(かたく)」と呼ばれる部分が子房を包み込むように肥大したものを食べています。それでは一体、子房にあたる部分はリンゴのどこにあたるのでしょうか?

私たちがリンゴを食べる際に、取り除く芯の部分が子房にあたり、子房が硬い芯となって中の種子を食べられないように守っている構造になっているのです。このように子房以外の箇所が肥大し形成された果実を「偽果」と言い、他にもリンゴと同じバラ科のイチゴも同様に花托が肥大した偽果になります。

 

私たちが普段口にしている果物でも、植物の着果方式の違いによりリンゴのような偽果を含めた2種類の果物が存在していることになるのですね。日頃当たり前のように見ているものや口にしているものでも、何か気になったことを調べてみると意外な発見があったりするかもしれません。

 

(参考情報)

https://buna.info/article/2461/

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