【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2019年6月

*ソテツ ~発熱する植物~*

 

皆さんは「ソテツ」をご存知ですか?公園や官公庁、学校、駅前のロータリーなどで目にする、南国の雰囲気を漂わせる常緑低木です。九州南部や沖縄諸島などの温かい地方では自生しており、冬季防寒をする事で本州中部以南でも植栽が可能です。最近では観葉植物としても人気ですので、細長い小葉が集まった羽の様な葉を一度は見たことがあるかもしれません。このソテツ、発熱するって知っていましたか?

 

発熱するのはソテツの「花」です(正式には「球果:Cone」と呼ばれ、潰れたトウモロコシの様な見た目をしています)。種類にもよりますが、ソテツの花は高いものでは外気温より10℃も高い温度になります。最近の研究では、発熱組織の表皮には巨大なミトコンドリアが観察され、非発熱組織に比べて活発に呼吸していることが示されています。このときの呼吸は、動植物で普遍的に見られる呼吸とは異なり、物や一部の菌類、原生動物で見られる「シアン耐性呼吸」です。シアン耐性呼吸により放出されるエネルギーは熱に変換されるため、これがソテツの発熱現象の熱源となっています。

 

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