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【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】
2021年4月
*サボテンの進化過程でつくられた容姿の魅力
昨今の園芸ブームにより、手軽に始められて枯らす心配の少ないサボテンなどの観葉植物が人気のようです。園芸店には様々な色や形をした観葉植物が売られおり、中には、え?これ植物なの?なんてものも目にされる機会があるかと思います。そこで、今回は、観葉植物の代表格でもある「サボテン」の“形の進化”にフォーカスを当ててみたいと思います。
サボテンの祖先はもともと砂漠ではなく、ジャングルの高温多湿な地域に自生していました。「木の葉サボテン」がこれにあたり、しっかりとした葉があり、通常の樹木とは何ら変わりのない見た目で、私達が想像するサボテンとはかけ離れています。
やがて木の葉サボテンの子孫は、砂漠のような乾燥した環境へと進出していきます。それに伴い、大量の水分を蒸散させてしまう葉をトゲ状に変え、光合成は茎で行うようになりました。また茎の節(茎節)を発達させ、環境が悪くなっても茎節までに影響をとどめ、株全体が枯れることを防ぐようになりました。ウチワサボテンのような形態がこれにあたります。
ウチワサボテンはアメリカ大陸の南北に幅広く分布しましたが、風や衝撃などで簡単にポキっと茎節から折れてしまうことが欠点でした。そこで現れたのが、縦に棒状に伸びる柱サボテンの形態です。「稜(りょう)」と呼ばれる特殊な多面体形状をつくり、株の安定性と光の当たる範囲を調整するようになったのです。
そして、さらに降水量が少ない厳しい乾燥にも耐えられるよう、サボテンは球状になることを選びました。こうなることで、陽に当たる面積を少なくし、水分の貯蔵も多くできるようになりました。この球状がサボテンのなかでは最も高度に進化している、いわば最終形態と言われています。
こうしてサボテンは、長い年月をかけて、環境順応により、木の葉→団扇状→柱状→球状と進化してきました。その過程で繁殖のために自らを厳しい環境へと追いやりその環境で生き抜こうとする生命力。普段、私達が当たり前に見ている植物の形の起源を知ることは非常に重要なことだと思います。どうしてこのような形に?何のため?など、みなさんもそんな疑問を植物にぶつけながら、ゆっくりと「日々の植物の変化」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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