【月一小話 植物の小ネタ バックナンバー】

2021年8月

*目指せオリンピック!地道に成長を続ける魅力的な植物『亀甲竜』

 

亀甲竜(ディオスコレア・エレファンティペス)という植物をご存知でしょうか。検索をすると、その独特なフォルムに思わず驚かれる方も多いのではないでしょうか。亀甲竜といえば、陸ガメの甲羅のような迫力ある“塊根”が一番の特徴です。今回は、亀甲竜の不思議な“塊根”についてご紹介します。

 

亀甲竜はヤマノイモ科の多肉植物で、冬に成長期を迎えます。南アフリカ南端部一体の乾燥地帯が原産地で、半砂漠のような岩や石の多い丘陵の斜面などに自生しています。自生地では、塊根が半分あるいは全部地面に埋まっておりますが、日本では、観賞用としてあえて露出させています。

 

実生から1年目の塊根は、ツルッとした芋のような形となります。2年目からは、成長するに従って徐々にヒビ割れが起き、表皮が少しずつコルクのような質感になってきます。そして、4~5年ほど経過すると、ヒビ割れ部分が隆起し、最終的に陸ガメの甲羅のような迫力ある形状になっていきます。

原産地南アフリカの気候は、冬に雨季が訪れるため、亀甲竜は冬に葉を茂らせ水を得て生育します。反対に夏は乾季となるため、亀甲竜は葉を落とし、休眠してイモに蓄えた水分と養分で生きながらえているのです。

亀甲竜の成長期は、毎年9月上旬〜5月中旬ごろです。夏の終り頃になると、塊根の頂点付近からアサガオのようなツルが伸びてきて、ツルからは光沢のあるハート型のかわいい形の葉を出します。そのため、栽培する際は、支柱を立てて誘因することで、自分なりに塊根とのバランスを取りアレンジして楽しむことができます。

 

1年で1㎝ほどにしか塊茎が成長しない、とにかくゆっくり成長を続ける亀甲竜。4年に一度のオリンピックのように、4年後の姿(塊根)を想像しながら、代表入りできるような魅力的な“亀甲竜”を目指してみてはいかがでしょうか。

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