メタボローム解析
メタボローム解析サービスでは、代謝産物の網羅的な解析を行い成分量を比較することでサンプル間の差を検出したり、アミノ酸等の目的化合物量を定量したり、サンプル間で量に差のある物質の分子式や構造を推定・予測することが可能です。
シロイヌナズナ、イネ、トマトのほか、様々な植物試料での実績があります。
目的に応じてご希望のメニューをお選びください。
本サービスは、公益財団法人かずさDNA研究所のシステムに基づいた分析・解析方法を用いています。
GC-MS 受託解析
10,000u/secの高速スキャンと好感度測定を兼ね備えた四重極型質量分析計
GCMS-QP2010Ultra(SHIMADZU)を使用。高精度なターゲット解析をご提供いたします。
さらに全ての化合物の検出ピーク対して主成分分析を行い、化合物含有プロファイルをもとにしたサンプル間比較結果もご報告いたします。
対象とする化合物の極性に応じて、基本解析・脂肪酸解析の2メニューをご用意しております。
LC-MS 受託解析
高精度・高分解能を誇る精密質量分析計Q-OrbitrapXL(Thermo Fisher Scientific)を使
用。
ピークを網羅的に検出、またピークの分⼦種の推定に役⽴つデータ解析も実施。
解析結果はExcelファイルをご報告いたします。
基本解析、脂質解析の2メニューをご用意しております。
標本作製
GC-MS 受託解析
報告書例
ターゲット解析結果
(保持時間、ピーク面積、Similarity等)
解析補助ツール
(主成分分析、TIC表示)
LC-MS 受託解析
*1 KNApSAcK、HMDBのデータベースに照合した結果をご報告いたします。
報告書例
全ピークリスト
(保持時間、強度、精密質量、
組成式、データベース照合結果等)
解析補助ツール
(主成分分析、2DViewer、MS2Viewer)
メタボローム解析の論文例
Urano et al., Plant J. (2009) 57: 1065-1078
Characterization of the ABA-regulated global responses to dehydration in Arabidopsis by metabolomics
(シロイヌナズナにおけるアブシジン酸制御に関連した乾燥応答全体のメタボロミクス解析)
概要
GC-Tof/MSとCE-MSを使用し、乾燥により誘導されるアブシジン酸生合成に関わるNCED3遺伝子のノックアウト体と野生型の代謝解析を行っている。関連する代謝物の同定や代謝物間のネットワークの解析により、乾燥ストレス応答による代謝物量の変化や代謝ネットワーク全体への影響を示している。
Maruyama et al., Plant Physiol. (2009) 150: 1972-1981
(DREB1A及びDREB2Aにより制御される代謝物と転写物の統合解析とそれによる低温順化に関わる代謝経路の同定)
概要
DREB1A/CBF3(過剰発現により凍結・乾燥耐性を向上させる転写因子)とDREB2A(活性型を過剰発現することで、主に凍結耐性を向上させる転写因子)のそれぞれの過剰発現体と、低温処理や脱水処理をした植物体について、GC-Tof/MSとCE-MS、LC-IT-MSを使用し、代謝物の解析を行っている。また、それに合わせてマイクロアレイとqRT-PCRを行い、関連する遺伝子の発現を確認している。代謝物と遺伝子発現の量変化から、低温及び乾燥条件下で植物内が糖類や糖アルコールが蓄積する状態へ移行するのを示し、DREB1A過剰発現体でも同様の代謝物の変化を捉えている。
Ogawa et al., Cryo Letters (2008) 29: 427-436
Cryopreservation and Metabolic Profiling Analysis of Arabidopsis T87 Suspension-cultured cells
(シロイヌナズナT87懸濁培養細胞の凍結保存及び代謝プロファイリング解析)
概要
シロイヌナズナT87細胞の簡便な凍結保存方法を確立し、その際の遺伝的安定性をGC-Tof/MSを用いて解析し、主成分分析(PCA)により確認している。これにより、 T87細胞の凍結保存が、全代謝物解析や、ファンクショナルゲノミクスの研究における大規模な形質転換培養細胞系統のコレクションにも利用できることを示している。
Iijima et al., Plant J. (2008) 54: 949-962
Metabolite annotations based on the integration of mass spectral information
(質量スペクトル解析で得られた情報を統合することによる代謝物のアノテーション)
概要
トマトのマイクロトムをLC-FTICR-MSで解析し、「代謝物をアノテーション」する方法を開発している。質量スペクトルの解析により、分子式や推定される構造と共に、869の代謝物のアノテーションが得られており、公的なデータベースとの比較で494の代謝物が新規物質であることが示されている。代謝物の包括的な解析により、フラボノイド等に関する新規の代謝経路の推測等がなされており、代謝物のアノテーションで、未知の代謝物やその関係性の生物学的な解釈について体系的に解析することが容易になることを示している。
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